「スマホの新型モデルが発売されると、数日前から徹夜で並ぶ人がいる」
「限定グッズや人気のラーメン店に、何時間も大行列ができている」
ニュースや街中でこうした光景を見て、「なぜそこまでして並びたいのだろう?」と不思議に思ったことはありませんか?
「早く手に入れたい」「売り切れが心配」という理由だけでは説明がつかない、人間のディープな心理がそこには隠されています。
この記事では、人が徹夜してでも行列に並ぶ理由を心理学の視点から分かりやすく解説します。
徹夜で並ぶ最大の理由は「優越感」と「名誉欲」を満たしたいから
いち早く最新トレンドを手に入れたいという熱狂の裏には、実は「承認欲求」や「優越感」が大きく関係しています。
SNSでの「ドヤ感」が快感になる
もし、手に入れた商品を誰にも見せず、SNSにも一切投稿しないとしたら、はたして徹夜までして並ぶでしょうか?
多くの場合は、以下のような心理が働いています。
- 誰よりも早く手に入れて、SNSで「新機種ゲット!」と投稿したい
- 友人や同僚に自慢して「すごいね!」と言われたい
つまり、商品そのものの価値だけでなく、「人より先に持っている自分」という優越感を消費しているのです。
一番乗りがもたらす「名誉欲」
行列の先頭(一番乗り)になれば、テレビやWebメディアなどのマスコミから取材を受ける可能性が高まります。
これにより、優越感だけでなく「名誉欲」まで満たされることになります。
【豆知識】男性のほうが大行列に並びやすい?
こうした「一番になりたい」「競い合って勝ち取りたい」という傾向は、女性よりも男性に多く見られます。
これには、競争心を煽る働きを持つ「男性ホルモン(テストステロン)」が関係していると言われています。
「みんなが並んでいるから」という同調心理と孤立への恐怖
行列や人だかりを見ると、つい「何があるんだろう?」と足を止めてしまう人は多いはずです。
これには、人間が持つ「同調心理」が影響しています。
孤立を防ぐための「社会的リアリティ」
人間は本能的に、他人がしていることと同じ行動を取ろうとする「社会的動物」です。
これほど多くの人が並んでいるのだから、「きっと良いものに違いない」「参加しないと損をする」という心理(社会的リアリティ)が働きます。
また、「自分だけがトレンドから取り残されたくない」という孤立への恐怖も、人を行列へと突き動かす大きな原動力になっています。
【心理学実験】人数が増えるほど「サクラ」につられる
アメリカの心理学者スタンレー・ミルグラムは、街中で「サクラ」を使って通行人がどれだけつられるかを実験しました。
この結果からもわかるように、人数が増えれば増えるほど、周囲の人間は同調しやすくなります。
大行列がさらなる大行列を生むのは、この心理が原因です。
なぜ「割り込み」を注意できる人は少ないのか?
行列に並んでいる時、一番不愉快なのが「割り込み」です。
しかし、実際にその場で毅然と注意できる人はそれほど多くありません。
注意できる確率は「真後ろの人」が圧倒的に高い
心理学者のレオン・マンとテイラーが行った割り込みに関する調査では、割り込みに対して行動や言葉で拒絶(注意など)を示したのは全体の約30%に留まりました。
さらに、注意をした人の位置を分析すると、驚きの結果が出ています。
- 割り込まれた真後ろの人:約60% が拒絶行動をとった
- 列が後ろに下がるにつれて、その割合は25% ➔ 5% と激減
つまり、割り込みを注意できるのは、実質的に「ダイレクトに被害を受ける真後ろの人だけ」と言えます。
それ以外の人は、「誰かが注意するだろう(傍観者効果)」という心理や、トラブルを避けたい思いから、不快感を抱えつつも黙ってしまうのです。
まとめ:行列の本質は「モノ」ではなく「感情」の消費
人が徹夜してまで行列に並ぶのは、単に商品が欲しいからだけではありません。
- 優越感や名誉欲を満たしたい
- 他人に同調して孤立の恐怖を解消したい
という、人間特有の心理的欲求が深く関わっています。
次に街で大行列を見かけた時は、「みんな今、どんな心理で並んでいるのかな?」と観察してみると、違った景色が見えておもしろいかもしれません。

